武道による青少年健全育成と生涯学習の実践を目指して

武道って?

武道とは、心身を鍛え技を磨く稽古を通じて人格の完成をめざす、伝統の日本武術から発展した 素手または武器・武具を使用した格技の総称です。

辞書(「大辞林」三省堂)によれば、【武道とは、「武芸に関する道、武士の守るべき道」。 武術とは、「武士が戦いのために身につける技術」】と記してあります。戦〔いくさ〕での道具や戦いの技術であった 武道・武術は、時代の移り変わりと共に形を変えながら、現代では人格の完成を理念としたスポーツとしての現代武道 として、広く世界中で親しまれる存在になっています。

昭和56年から日本武道協議会に所属する柔道・空手道・合気道・剣道・弓道・相撲・少林寺拳法・ なぎなた・銃剣道の十団体から代表者と、さらに学識経験者の意見発表から武道についての研究が行われてきました。 そして、武道の起源・武道観・武道の理想の三つの観点から研究を深めた結果、日本武道協議会により「武道とは何か」が [武道憲章]という形でまとめられました。



こども武道憲章

武道は、日本古来の武勇を尊ぶという精神を受けつぎ、長い歴史の中でつちかわれ、 発展してきた伝統文化です。武道は、礼儀正しさを身につけ、技をみがき、心身をきたえ、りっぱな人になるための修行の 方法です。
わたしたちは、技の稽古や試合の勝ち負けだけを目的にするのではなく、武道を正しく理解して、このすばらしい日本の 伝統文化を大切にしなくてはなりません。
これからも武道を愛し、修行を続けていくために、わたしたちが心がけなくてはならないことを「こども武道憲章」 として掲げ、これをまもります。

第一条 (目的)

武道は、技をみがくことによって心身をきたえ、強くたくましく、勇気と思いやりと正義感をもった、社会に役立つ人に なることをめざします。

第二条 (稽古)

稽古をするときは、先生の教えや礼儀を守り、基本を大切にし、技だけではなく、心と体も鍛えるよう、一所懸命にはげみます。

第三条 (試合)

試合や演舞では、ふだんの稽古の力を出しきってがんばり、勝ち負けや結果だけにこだわらず、節度ある真剣な態度でのぞみます。

第四条 (道場)

道場は、技をみがき、心と体をきたえる場所として、規則や礼儀を守り、清潔と安全を心がけます。

第五条 (仲間)

道場の仲間を大切にして、お互いに協力し、はげましあいながら、楽しく稽古し、さらに多くの仲間を作ります。

平成16年9月16日制定 日本武道協議会



武道憲章

武道は、日本古来の尚武の精神に由来し、長い歴史と社会の遍歴を経て、術から道に発展した伝統文化である。

かつて武道は、心技一如の教えに則り、礼を修め技を磨き、身体を鍛え、心胆を錬る修行道・鍛錬法として 洗練され発展してきた。このような武道の特性は今日に継承され、旺盛な活力と清新な気風の源泉として日本人の人格形成に少なからず 役割を果たしている。

いまや武道は、世界各国に普及し、国際的にも強い関心が寄せられている。 我々は、単なる技術の修練や勝敗の結果にのみおぼれず、武道の真髄から逸脱することのないよう自省するとともに、 このような日本の伝統文化を維持・発展させるよう努力しなければならない。

ここに、武道の新たな発展を期し、基本的な指針を挙げて武道憲章とする。

第一条 (目的)

武道は、武技による心身の鍛錬を通じて人格を磨き、見識を高め、有為の人物を育成することを目的とする。

第二条 (稽古)

稽古に当てっては、終始礼法を守り、基本を重視し、技術のみに偏せず、心技体を一体として修練する。

第三条 (試合)

試合や形の演舞に臨んでは、平素練磨の武道精神を発揮し、最善を尽くすとともに、勝っておごらず負けて悔やまず、常に節度ある態度を堅持する。

第四条 (道場)

道場は、心身鍛錬の場であり、規律と礼儀作法を守り、静粛・清潔・安全を旨とし、厳粛な環境の維持に努める。

第五条 (指導)

指導に当たっては、常に人格の陶冶に勤め、術理の研究・心身の鍛錬に励み、勝敗や技術の巧拙にとらわれることなく、師表にふさわしい態度を堅持する。

第六条 (普及)

普及に当たっては、伝統的な武道の特性を生かし、国際的視野に立って指導の充実と研究の促進を図るとともに武道の発展に努める。

昭和六十二年四月二十三日制定 日本武道協議会